DX対応の本質

私たち中小企業にとってDXってなに?

私たち中小企業にとってDXというとウェブやSNSで集客したり、自社の業務を効率化するツールを導入することを言うことが多いようです。
もちろんこれは必要なことですが、私はこれだけでは不十分だと考えています。

それは、お客様・競合・商品などの自社の商売に影響を与える世の中全体のデジタル化で自社がどのような影響を受けるかを考える必要があるからです。

世の中全体のデジタル化とはどんなものでしょうか?

①お客様が情報を手に入れた
例えばお客様はインターネットを活用し知識や情報を得ます。いままでマスメディアに頼るしかなかった情報をユーザー自身が手に入れ、自らの細かい価値観にマッチした商品やサービスを探せるようになりました。

②競合が爆発的に増えた
DX時代には従来の商圏という垣根を超えた新しい競合が爆発的に増えます。アマゾンや楽天を中心に日本中の同業者が競合になり、さらにこれからはAI事業者がライバル企業になっていきます。

③既存の商品自体の存在価値の低下
いま販売している商品自体もデジタルによって大きく変化し、新しい商品に代替されます。
既存の商品はその存在価値自体が問われていきます。

このような世の中において自社の業務だけをデジタル化しても効果は限定されます。
それよりも、もっと根本的な提供価値を見直し、デジタル社会において必要とされるビジネスモデルにシフトしていく必要があります。



この辺りは動画でも解説していますので、よろしければご覧ください。


最大の難題は「既存市場の破壊者」対策

GAFA(Google・Apple・Facebook・Amazon)など、いま私たちの周りには既存の市場を破壊するようなグローバル企業がいくつも存在しています。このような既存市場の破壊者をディスラプターといいます。
例えば小売業ならAmazonに、広告やメディアはGoogleやネットフリックスに、今までの競争の概念は大きく覆えされました。
この状況下では、多くの中小企業は今のビジネスモデルのままではとても太刀打ちできませんから、新しいビジネスモデルへの転換が重要になります。
私たち中小企業にとってのDX対応は、実はこのディスラプターに対応していくことが最も重要で最も難しいのです。

ビジネスモデルの変革なくしてDXはありえない


中小企業のDXの肝はディスラプター対応

トランスフォーメーションという言葉は本来「原型をとどめないくらいの変化」という意味だそうです。
ですからデジタルが世の中に入ることで原型をとどめないくらいビジネス環境が変化するのがDXです。
そのような中では、自社の業務を単にデジタル化(デジタルツールの導入)するだけでは本質的にはDXへの対応はできません。
前述でも述べたようにDXは、お客様・競合・商品を大きく変える変革ですから、ユーザーの消費行動の変化やディスラプターの登場といった新しい競争環境下では、自社のビジネスモデル自体の変革が必須であり、その前提があってのデジタルの導入が必要になります。
ここを必ず忘れないようにしてください。

こちらも下記の動画でもご説明していますので、ぜひご覧ください。


お客の行動変化への対応と新しい競合

お客様と競合の変化をもう少し詳しく見ていきましょう。
例えば、カーテンを販売している小売店の場合、インターネットができる前の消費者はまず近くのカーテン屋さんや家具店に足を運びその中から好みのカーテンを選んでいました。
ですからお店にとって重要なのはユーザーに来てもらいやすいことであり、大きな看板や大通りに面した立地がとても大切でした。

しかしインターネットの登場でユーザーは情報を手に入れ、より細かい自分の好みや使い方にマッチした商品を探せるようになり、それを買うことの出来るお店に足を運んだりネットショップで購入したりするようになりました。
つまりユーザーの消費行動が大きく変わったのです。



お店にとっては今までの「岡山市」などという商圏の垣根を越えて全国のカーテン店やアマゾンなどの世界的な企業が新しい競合になります。

ですからDXの時代に重要なのは、今扱っている商品をそのままネットで紹介したり集客したりするのではなく、ユーザーの細かいニーズに合った商品構成やオンリーワンのサービスの提供など、提供価値の再定義や新しい価値の創造が必要になります。

これは小売店だけでなく、生命保険や不動産会社、旅行会社など様々なBtoC(個人対象)ビジネスに言えることです。

さらに、これはBtoB(法人対象)の事業者も同じです。広告や印刷、ユニフォームの購入、仕入れ先の開拓、事務機販売など特にインターネットの情報と親和性の高いご商売をされている方はDXによってユーザーの消費行動がどのように変化しているか、どのような競合が発生しているかを見極め、提供価値自体の見直しを行っていく必要があります。

今日現在、私たち中小企業にとって最も身近なデジタル変革はインターネットによる変革です。
ですが、これからはAIやロボットなどの開発で、従来の概念にはなかった競合などがさらに増していきます。
「AIによってなくなる仕事」の論文が数年前に話題になりましたが、まさにそうなれば自社の商品・サービスはその存在意義を問われるようになります。



商品や産業構造のデジタル変革

インターネットと親和性の低いBtoBの業界であっても、商品や産業構造のデジタル変革への対応は急務の課題です。
例えば、岡山県にも多い自動車産業です。
ガソリンエンジンがこれからEV(電気自動車)になると、従来のガソリンエンジンを製造していた会社やそれに伴う部品の製造・販売を行っている会社、自動車整備を行っている会社は例外なく影響を受けます。
また、自動運転やシェアリングが当たり前になってくると自動車保険や自動車教習所は仕事が無くなってくるかもしれません。

また、さらに岡山に多い印刷業ですが、従来のペーパーレスに加えてベネッセの教材のデジタル化により影響を受けた会社は少なく無いでしょう。

このようにDXに関係のない業種はないと言っても過言ではありません。
これからのデジタル変革の時代にどのように対応し、戦略やビジネスモデルを見直していくのかがとても重要になります。

DXに必要なこと

上記のようにDXを進めていくにはデジタルによる経営環境の変革を理解したうえで、自社の提供価値の再定義や創造、つまり「新しい選ばれる理由」が必要です。
これを作り上げていくには次の3つが重要になります。


➀新しい戦略

②戦略をつくる思考方法

③それを考え実行する組織

①新しい戦略

前述の通り、DX対応の本質は提供価値の再定義や創造。つまり「新しい選ばれる理由」を作ることです。
デジタルによって変容したユーザーの行動への対応や、従来の商圏という垣根を超えた新しい競合、市場の常識を覆すディスラプター(既存ビジネスの破壊者)に立ち向かうため、戦略から見直していく必要があります。

②戦略をつくる思考方法

DXに対応するためには、それにあった考え方・思考方法が必要です。
「ネットを使って何かやれ!」と経営者が抽象的な指示をしても、社員は何から手を付けたらいいのか分かりません。
DXには提供価値の見直しと競合優位性の創造が大変重要で、私たちはAB3C分析というDXの時代に合った手法を用いてそれを作り上げていきます。



③それを考え実行する組織

どんなに良い戦略(新しい選ばれる理由)も現場の社員がそれを理解して主体的に動かなければDXは進みません。
社員数名の会社ならトップダウン式でどうにかなるかもしれませんが、人数の多い会社になればなるほど、ボトムアップ式にそれをつくりあげる主体的な組織が必要になってきます。
しかし多くの会社では現状に対する危機感に経営者と現場の社員との間に大きな差があり、なかなか新しい戦略の遂行ができないという課題があります。



私たちは経営者と経営者を支えるマネジメント層が、一緒にこの新しい戦略を考え・つくり・進めていくためのプログラム
「DX思考育成プログラム」を提供しています。




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